YouTubeアナリティクスの基本的な使い方については、以前の記事
「YouTubeアナリティクスを使いこなせていない」「もっとマーケティング戦略に活かせるデータが欲しい」と思っているマーケターは必見です。
ターゲットによる動画再生回数
動画再生回数はパフォーマンス指標としてもっとも分かりやすく、KPIに設定されがちですが、マーケターとしてはその”中身”を見ることも重要です。非ターゲット層に動画を何万回と再生されても、マーケティング目標を達成することはできません。
そこで、どのユーザー層にどれくらい再生されているのかを調べる方法をご紹介します。YouTubeアナリティクスの画面上だけでは見られないため、いくつか作業をする必要があります。
Step1.ユーザー層のデータをダウンロードする
調べたい動画を選択し、メニューから「ユーザー属性」を選択。その後、右上の「レポートをダウンロード」をクリックします。これでユーザー属性のcsvデータを取り出すことができます。
Step2.ターゲットビュー率を算出する
次に、ターゲットユーザー層による再生率を計算します。YouTubeアナリティクスで出力できるユーザー属性は「国・性別・年齢」のため、このカテゴリでターゲット層を定義します(例えば、「日本から再生している18-34歳の女性」など)。
そしてターゲットに該当する「Viewer
Percent(G列)」を合算したものが「ターゲットビュー率」となります。
(再生が数カ国に渡っている場合、1カ国の合計が全部で100%になります。)
▼例)「日本から再生している18-34歳の女性」に該当する赤いセルの数値を足すと12.6%になる。
Step3.ターゲット層による再生回数を算出する
最後に、全体の再生回数(Views)にターゲットビュー率をかければ、ターゲット属性による動画再生回数を求めることができます。この例の場合、『3650(回)×12.6(%)=約460(回)』となり、アプローチしたいターゲット層には、460回視聴されたことが分かります。
視聴者維持率
「視聴者維持率」は動画コンテンツにとって大切な指標です。再生回数が非常に多くても、伝えたいポイントの前で視聴者が離脱してしまっていては、肝心のメッセージは伝わっていないことになります。
この項目でご紹介したいのは、YouTube内のすべての動画の平均視聴者維持率と比較できる「相対的な視聴者維持率」です。ここでは、平均よりも視聴者維持率が上回っているか、もしくは下回っているかを確認しましょう。
視聴維持率が始めから終わりまで大幅に平均を下回る場合は、多くのユーザーが動画を視聴するモチベーションを感じていないことを意味するため、コンテンツ自体を変更することを検討してみましょう。一方、例えば上図のように冒頭で大きく下がり、それ以降は平均を超えているような場合は、多くの視聴者が離脱している部分を見直し、動画を再編集することで、全体的に底上げできる可能性があると読み取ることもできます。
動画埋め込み箇所・被リンク
動画がどのようなサイトに埋め込まれているのか、または紹介されているのかを知ることで、動画に興味をもっているユーザーの傾向を知ることができます。その中で突出して「再生時間」や「平均視聴時間」が長いサイトがある場合は、そのサイトやメディアのユーザーと動画コンテンツが非常にマッチしている証拠です。提携できるメディアであれば、プロモーション提携をすることも考えられます。
埋め込まれているサイト
自分の動画が埋め込まれているサイトを知りたい場合、メニューから「再生場所」を選択、「外部のウェブサイトやアプリの埋め込みプレーヤー」から確認することができます。
被リンク
被リンクを調べたい場合は、メニューから「トラフィックソース」を選択、「外部」を選択すると見ることができます。
関連動画からの流入数
YouTubeでは、右サイドに「関連動画」が表示されます。ある目的を持ってYouTube動画を探しているユーザーは、関連動画経由で、次から次へと動画を視聴する傾向があります。そこで自社の動画を視聴したユーザーに、この関連動画を通して自社の複数の動画を視聴させることができれば、ファン化やブランディングを促進させることができるでしょう。
ユーザーがどの関連動画からたどり着いたかを確認するには、YouTubeアナリティクスで対象とする動画を選択し、メニューの「トラフィックソース」を選択。「関連動画」から、参照元がどの動画かを確認できます(データには自社チャンネル以外の動画も含まれます)。
もし自社の関連動画から流入するユーザーが少ない場合は、メタデータの最適化を行いましょう。タイトル、説明文はもちろんのこと、関連動画に関しては「タグ」が重要と言われています。動画の内容に関するキーワード(例えば「収納方法」など)や、自社の動画チャンネル特有の「タグ」を設定(例えば「ラクラク収納シリーズ」など)するなどの対策が有効です。
チャンネル購読者数
「チャンネル登録者は、登録していないユーザーに比べて2倍多く動画を見る」「購読しているチャンネル内での動画視聴時間は、ウェブページ埋め込み動画のそれよりも4倍近く長い」といったデータ
また、新しい動画コンテンツを配信するたびにチャンネル購読者には通知が届くため、チャンネル登録者数を増やすことは、YouTubeマーケティングでは重要な施策となります。
チャンネル登録者数はメニューの「登録者」から増減を確認することができます。
チャンネル登録者を増やすにはさまざまな方法がありますが、過去記事で紹介したチャンネルの整備
シェア数&シェア率
動画を閲覧したユーザーのエンゲージメントを測る上で、ソーシャルメディアのシェア数は重要な指標です。YouTubeアナリティクス上では「共有」メニューから確認することができます。ただし、公式ヘルプには「共有レポートには、YouTube の [共有] ボタンを使用してコンテンツが共有された回数と、視聴者が動画の共有に使用したサイトが表示されます」とあり、共有ボタンを押していないとシェア数に反映されません。
そこで今回、Googleドライブで使用できるmovieTIMESオリジナルのカウンターを読者の皆さまに公開します。
ソーシャルシェアカウントツール:ソーシャルカウンター (現在、公開を中止しております)
※TwitterとFacebookのみの計測となります。「ファイル>コピーを作成」を選択すると、ご自身のドライブにコピーされ、記入ができるようになります。
使用方法はURL欄に計測したいURLを貼り付けるだけです。YouTubeページはもちろんのこと、動画を掲載しているサイトのソーシャルインパクトも計測可能です。
動画コンテンツの目的にあわせて効果指標も変更する
動画コンテンツの効果指標としてまず注目されるのが「再生回数」でしょう。過去にご紹介したHHH戦略におけるヒーローコンテンツの場合であれば、認知拡大や話題化の指標として再生回数をKPIに置くのもひとつの方法です。
しかし昨今ニーズが増えているハウツー動画やチュートリアル動画などのハブコンテンツ及びヘルプコンテンツの場合は、今回ご紹介したさまざまな指標から、どれだけコンバージョン獲得やエンゲージメント向上に寄与しているかを把握することが、動画マーケティングを適切に進めていく上で非常に重要な視点です。
アナリティクスという便利なツールをきちんと使いこなし、自社の売上拡大、事業発展につながる動画マーケティングの実現を目指しましょう。